中国で日本語教師は中国語を話せたほうがいい?メリットとデメリット

2020年2月29日土曜日

中国生活 日本語教師

t f B! P L


 中国で日本語教師を年ほどしています。中国での生活が長くなるにつれて、中国語会話もそれなりに上達しました。自慢みたいになりますが、現在では日常会話は問題なく、10分くらい話しても外国人だとはまず気づかれません。今回の問題は、中国語ができるかできないか、これが日本語教師の仕事にどう影響するかです。



企業の海外出張や駐在員であれば中国語ペラペラはもちろん、英語もペラペラでないと仕事にならないと思います。大学を卒業したホワイトカラーの中国人の英語力は日本の大学卒業レベルを大きく上回ります。貿易、海外営業などでは中国でも英語は必須です。大卒以上の中国人の英語レベルは高いので、日本語教師も英語が流ちょうであれば学校内での生活には困らないと思います。



では中国の大学で日本語教師をする上で、中国語が話せるというのはどのくらいのメリットなのでしょうか?以下にまとめてみました。





メリット


①学校側や仲介業者と中国語でやり取りできる


中国の大学では外国人の雇用契約や生活管理などは国際交流センター(国际交流合作中心など大学によって名前は異なる)と呼ばれる行政事務所が行います。そのオフィスに日本語ができるスタッフはほとんどいません。ですから日本語教師が中国語も英語もできない場合、外国語学院の日本語科の先生を通じて連絡や交渉を行います。

ビザの手続きなどに関する学校からの連絡は 国際交流センター→日本語科の先生→日本人教師 という順で来て、日本人教師からの連絡は 日本人教師→日本語科の先生→国際交流センター となります。




これでは時間もかかりますし、伝言ゲームで意味が正しく伝わらない可能性もあります。直接国際交流センターの担当者と連絡がスムーズに取り合えればとても便利です。担当者も交渉の過程を上司に連絡するときにSNSのスクリーンショットなどを使いますから中国語でやり取りできればとても助かります。





②生活・仕事上のやり取りを自分で行える


中国生活を経験したことがある人ならわかると思いますが、中国では何もかもが日本のようにすんなりとはいきません。水漏れや停電、ネットの不具合、急な休校・・・突然の予定の中止・変更は日常茶飯事です。



そんなときに中国語が出来ればいち早く情報をキャッチすることができます中国では予定の変更や需要通知を「互相转告」つまり「お互いに連絡しあってください」という形で通知することが一般的です。上層部は掲示板に張り紙をするだけ。張り紙を見た人がSNSで知り合いに教えあって全員に広まるというシステムです。「明日から休校」のような重要な通知でさえ「お互いに連絡しあってください」だけ。日本のように捺印欄が付いた回覧資料が回ってくることはありません。

 

当然この井戸端会議的なシステムに外国人は入っていませんから、外国語学院の担当者からの連絡を待って初めて状況を知ることになります。ですから中国語ができれば重要な情報も自分で収集し動くことができます。

中国語が全くできない欧米人の先生たちはなかなか連絡が回ってこないときには「だれも教えてくれない!どうなっているんだ!」といつも不満を言います。また現在の中国ではネット通販なしの生活は考えられませんから、宅配業者の電話に対応するのにも中国語は出来たほうがいいでしょう。



③授業で文法を教えられる


中国の大学の日本語科では、主に中国人の先生が文法などの理論を教え、日本人教師は会話などの実践を担当する場合が多いです。時々あるのですが、会話の授業のとき、生徒の話す文法が不自然なことがあり、聞いてみると中国人の先生の授業で用法を習ったと言います。中国人の先生の教えに問題はないのですが、文法や文型には例外や特殊な用法があります。そのような細かな説明を加える場合に中国語ができれば生徒も納得の説明ができます。

 


④学生の本音が聞ける


日本人でも外国語を話すときには緊張しますね。緊張で顔が引きつったり、作り笑いになったりするのではないでしょうか。日本語学習者が日本人の先生に話すのも簡単ではありません。日本語を学び始めたばかりの生徒たちと深い話をするにはやはり中国語が便利でしょう。とは言っても、なれ合いになる必要はないと思いますから適度な距離は教師によって違うと思います。



⑤中国人に好感を持たれる・学生に尊敬される


日本語を勉強する学生は、外国語の習得がいかに難しいか嫌というほど知っています。毎日毎日練習してもすぐには上手にはなりません。ですから教師が一生懸命勉強して中国語を話しているのを見て励まされます。また言語の習得は一朝一夕にできるものではないので、強い意志と情熱が無ければ外国語を流ちょうに話せるようにはなりません。ですから中国語を話せるとそれだけ中国のことを理解しようと思っている人だと受け止められます。




⑥中国国内を自由に旅行できる


中国大陸は広大です。最近は高速鉄道で大都市が結ばれていますが、それでも各地に行くには長い時間旅行しなければなりません。英語でもなんとかなりますが、バスに乗ったり、高速鉄道の切符を買ったり、田舎のホテルに泊まったりするには少しでも中国語ができたほうがいいでしょう。誤解によるトラブルも防げます。外国人がなかなか訪問しないような田舎では英語は全く通じません。

湖南省ミャオ族自治区域 こんな田舎では中国語ができないと困ります


デメリット


①生徒が中国語で話しかけてくる


先生に「中国語が通じる」とわかると、授業中に中国語で話しかけてくる場合があります。普段の会話も中国語になったりして日本語会話練習の貴重なチャンスを生かせなかったりします。授業中の小話などの場面でも、日本語では聞き取れない生徒が中国語で質問したりして緊張感がなくなることもあり。やはり日本人の先生の存在意義というのは正確な日本のシャワーを学生に浴びせることが第一だと思いますからこれは困った問題になります。



日本語教師が自らを律して「授業中は日本語しか話さない」と決め、それを守り通せばいいのですが、実際にはなかなか難しいのです。生徒が中国語で話しかけてきて、それに日本語で応対するのはちょっと冷たい感じがしますし、けじめをつけるのが困難になります。



②仕事が増える


日本人の先生が中国語ができるとなると、テストの作成やイベントの参加の要請が増えます。欧米人の先生は漢字が読めないので、普通期末テストの準備や各種手続きは外国語学院の担当者が外国人の先生の代わりに準備してあげるのですが、中国語ができる日本人の先生は自分で準備するように言われる場合があります。また日本語科のイベントだけでなくほかのイベントにも呼ばれるようになります。好きな人はいいですが、忙しくなりますね。


いかがでしょうか。中国生活を満喫するには必須の中国語会話。できるなら話せるようになったほうが毎日がより楽しくなりますが、気を付けるべきこともありますね。今年はHSKテストに挑戦しようと思いますのでそれはまた追って紹介したいと思います。

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