私は29歳まで大阪の公共性の高い団体職員でした。比較的安定した職業を辞めて中国で1年契約更新の日本語教師を始めたのには理由があります。今回はそのことについてまとめたいと思います。
私は大学を卒業して29歳まで社会福祉士として勤務していました。公共性の高い団体に所属し、日々高齢者の福祉に向き合っていました。仕事は好きでしたし、やりがいもそれなりに感じていました。しかし30を前にして自分の残りの人生を真剣に考えるようになりました。
当たり前のことですが、人間の命=人生=時間です。しかし人間はいつ病気になるのか、いつ事故などで不自由な体になるのか、またいつ不幸にして人生が終わってしまうのか正確に予測することはできません。大きなアクシデントが無くても老いは必ず忍び寄り、体は徐々に不自由になっていきます。
大きな事故、病気なく過ごすために、食事に気を付け、安全運転し、ストレスをためないようにし、それでも心配ですからいろいろな保険に入ります。これほど大きな犠牲を払ってリスクを減らしているのに、残念ながら人生で健康な時間は決して長いとは言えません。
したい事=すべき事 & できる時=すべき時
私はいま、やってみたいことが仕事以外にもあることに気づきました。それが日本でなくてもできることにも気づきました。もちろん仕事が一番の生きがいであれば、仕事に没頭して、家族を養うという人生もそれなりに素晴らしい人生だと思います。
でも私はやりたいことと仕事を合わせて、時間(人生の中で健康で元気な時間)が足りないと分かったので、決断の時だと思いました。
中国での日本語教師は職業として最強
私は今の日本語教師の仕事にやりがいを感じています。と同時に私に必要な時間やインスピレーションといった大切なものを与えてくれていることにも感謝しています。この仕事のおかげで自分のしたいことを十分にする自由な時間を確保して、生活を楽しめているからです。プライベートな時間を楽しみたい人にとって、中国の大学で日本語教師になるのは最強の選択だと思います。
勤務時間
上の写真は今学期の私の授業スケジュール表です。このほかにも日本語コーナーやスピーチコンテストの指導、その他会議などがありますが、これらは義務ではなくできるだけ協力するように期待されている事柄です。今学期は諸事情で授業時間が少なく週10コマしかありません。今学期は少し極端ですが、中国の日本語教師はだいたい週3日、16コマほどです。今学期は授業前後の時間を含めても1カ月の勤務時間は50時間ほどです。また、大学には冬季、夏季それぞれ2カ月ほどの有給休暇があります。気の進まない上司や同僚との飲み会などの付き合いもゼロです。給料は安いですが、時給に換算するとかなり割はいいのではないでしょうか。
必要な労力
確かに日本語教師の仕事は大変です。学生一人一人の日本語の上達に責任を持つ外国籍の専門家として在籍していますので、責任は重大です。しかし、日本人教師が受け持つ科目は毎年だいたい固定で決まっていますから、3,4年続けていると各学年の教案はだいたい固まってきて、使いまわしもアレンジもできるようになってきます。また、中国特有の状況に適応するのも上手になってきてトラブルも減ってきます。ですから3年以上続けている先生たちは授業以外の時間はほとんどが自由時間になるのです。
やりがい
人と接することが好きで、会話を楽しむことができる人にとって日本語教師の仕事は大変やりがいがある仕事です。若い大学生は教えれば教えただけ伸びますし、彼らのこれからのキャリア、人生に何かしらの貢献ができている実感があります。また自分の生まれ育った日本を外国からの視点で見る体験ができることも貴重だと思います。
人生のリセット機能
日本語教師は、例外はありますが基本的に1年ごとの契約です。これは中国で受け取る就労用のビザで申請する「外国人労働許可証」が一年ごとの更新であるためです。真面目に、誠実に授業を進行すれば、普通は大学側から契約延長のオファーを受けますが、それでも単年契約です。ですからこれから人生の時間をさらにここで使いたいのか、日本へ帰りたいのか、それともほかにしたいことがあるのか、毎年改めて考えさせられます。私にはこれが人生のリセット機能になっていると感じています。
自らの成長
日本語教師の仕事は「先生」と呼ばれますが、実際は地味な仕事です。教え方が上手にできないこともあれば、頑張って準備した内容の生徒受けが悪いこともあります。また授業内容は同僚や学生たちにシビアに数字で評価されます。でも簡単ではないからこそ授業がうまくいったときの達成感もひとしおです。頑張っただけ自分の成長も実感できる仕事だと思います。
仕事を楽しみながら、生活を維持する収入とやりがいを持ち、自由な時間に旅行やライフワークを行うという私の生き方からすれば、中国で日本語教師をするというのは最強の選択だと思います。あまり参考にもならないと思いますが、簡単に紹介させていただきました。
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