3Dスキャンによるセラミック修復 これしかない
中国に戻った私はネットで歯科治療について勉強を始めました。そして保険で治療できる銀歯のデメリットやセラミック修復の治療方法について資料を調べました。そこで正確に型どりする方法として歯を3Dスキャンするしかないという結論に至りました。スキャンしたものはこれまた3Dプリンターのようなものでセラミックの塊から削り出すのです。
いくつかのメーカーがスキャン機器とセラミックを削り出す機械を制作していますが、世界的に圧倒的なシェアを持つのがドイツのメーカーの「セレック」と言うマシーンです。一台1000万円から1500万円くらいするらしいです。ご存知の方も多いと思います。言っておきますが私は業者の回し者ではありません(笑)
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これがセレックシステムのセラミックを削り出すマシーン |
この治療方法には利点がたくさんあります。個人的に納得したのは、
①削った歯を正確にスキャンできるので、被せ物と歯の接着面に隙間がほとんどないことです。ほぼ歯とセラミックが一体化しますから隙間からまた虫歯が再発する心配が少ないです。この点ではいくら高いセラミックの被せ物を作っても、型どりが従来の方法であれば接着面の誤差はやはり心配だということです。事実被せ物の中で10年たったあとの残存率はセレックが一番とのデータがあります。
②またセラミック(陶器)を型どりしたり焼き上げたりすることが無いため、被せ物の材質が均質であることです。中に気泡やごみが混入する可能性がありません。
③一番良いところは削ったその日にその場で被せ物を削り出すので、治療が一日で終わることです。
そこで調べてみると日本でもセレックシステムを導入している歯医者さんは多いことに気づかされます。全額自費の高額な出費ですから失敗はしたくありません。どこの歯医者さんにしようか迷います。私はホームページの雰囲気からなんとなく選んでしまいましたが、できれば友人の紹介がいいと思います。
治療の過程と実際にかかった費用
「セレックで治療したい」と予約して行ってみるとすぐに治療開始。歯の写真を上下取って、どことどこを治したいか確認します。希望を言うと料金を印刷した治療予定を見せてくれます。今はどこの歯医者さんでもこうしてくれるのでしょうか。
私が行った歯医者さんでは被せ物のサイズによって料金が異なり、セレック治療料金は以下の通りでした。
セレック | L | LL | クラウン |
被せ物のサイズ | 44000円(税込) | 55000円(税込) | 88000円(税込) |
すべて込々の料金で、この他にレントゲンなどの費用は掛かりません。ただ、個人的にはセレックで制作する手間はサイズに関係ないし、使用するブロックもほぼ同じなのでサイズ別料金はちょっと納得できません。
「自分から見て右上の奥歯二本をとりあえずお願いします」と希望を話すとすぐに治療開始。銀歯をゴリゴリ削って取っていきます。奥歯の銀歯を取って虫歯のところを削り、形を整えたら歯をスキャン。スキャンするために特殊なパウダーを歯全体にスプレーで吹き付けます。かみ合わせもコンピューターが計算して設計してくれるので削った歯だけでなく上下の周りの歯全部をスキャンします。
そのあとは先生がソフトの提案してくる設計を基に修正して被せ物の設計を完成、マシーンでセラミックブロックから被せ物を削り出します。その間30分ほど。
削り出した歯を実際に口の中で歯に仮適合させてみて確認したあと、歯科用セメントで密着させます。かみ合わせを確認して終了。二本治してもらって2時間半ほどでした。速い。私は2日通って3本治しました。かかった費用合計143,000円。
予後と感想 満足度はズバリ、85%です。
満足していること
①白い歯 銀歯が白いセラミックになったことには満足しています。まだ見える位置の歯に銀歯がありますが、これもまた後日治していこうと思います。現在口の中の銀歯は7→4に減りました。またかみ合わせに関しても、さすが上下スキャンしただけあり自然なかみ合わせを実感しています。
②一回で終わる治療 日本にいる時間が限られているので1回の通院で終わるこの治療には感謝です。保険適応の治療の場合は作業としては一回で出来る治療も保険申請のためにわざと2回に分けなくていけないこともあるようです。
③費用も納得 14万円の費用は保険適用の銀歯に比べれば確かに安くありませんが、保険適応で何度も通院する手間や交通費、銀歯よりも再治療の可能性がずっと低いことを考えると納得できる範囲でした。私の行った歯医者さんはセレックの被せ物に3年の保証を付けていますし。いろいろ探すとセレック治療で安いところは一本2,3万円からできるところもあるようです。
不満なところ
①セラミックはかなり大きく歯を削る これは金属が衝撃に強く薄く作れるのに対し、セラミックは衝撃に弱いので厚く成型する必要があるためです。セレックマシーンで切削しているときに舌で歯を軽く触るとごっそり削られたのが実感でき、凹みます。削った歯は二度と戻りません。将来再生医療が一般的になれば別ですが。②知覚過敏になった 残念だったのはセレック治療を行った歯の3本で少々知覚過敏の症状が出たことです。我慢できないほどではありませんが、冷たいものが当たると滲みます。理由ははっきりとはわかりませんが以前は意識しなかったのでガッカリです。シュミテクトでも使おうと思います(笑)
③セレック治療の説明が少なかった 私の行った歯医者さんは頑張ってくれましたし、腕も良かったと思いますが、寡黙な先生はほとんど説明してくれませんでした。治療の途中で詰め物が被せ物に変更になりました(料金は変更なし)が、削る前に何の説明もありませんでした。残念です。また、セレックのセラミックのブロックの種類には様々な色や硬さがあるはずですが、患者に相談も説明もなく先生が選んだセラミックを使うというだけでした。
私の家から遠いので諦めましたが、セレックについてとことん説明してくれる歯医者さんもあるようです。↓ここに行きたかった(泣)
https://yayoshi.biz/index.html
セレック修復の治療を受けてみて分かったことは、やはりその他の治療と同じで歯科医師の技量に大きく左右されることは変わりないということです。次回帰国時にまたあの歯医者さんに行くかどうかはまだ決めていませんが、セレック治療自体はすごく将来性のある治療だと思いました。メリットも、明らかなデメリットもありますから、よく考えましょう。もし気になる方がいたらコメントお願いします。近い将来に保険適用になるとのうわさもあります。楽しみですね。
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