【教案】商務日本語文書01 「これから学ぶビジネス文書」

2020年2月19日水曜日

教案

t f B! P L
今日から商務(ビジネス)日本語文書の授業も始まりました。ネットライブ中継による、リモート授業継続中です。

先生が目の前にいない自宅で学習に励む生徒の為にも、できるだけ授業を盛り上げていきたいと思います。実際に私の生徒たちが大学を卒業して日本語を用いる仕事に就いたとしても貿易や商談と言った重要な場面でビジネス文書を担当するようになるとは思えません。でも今ここで学ぶ意義を分かってほしいとの思いを込めてPPTを作成しました。

授業の組み立てや話題の振り方など、自分で工夫したポイントと共に紹介します。

日本語を学ぶ外国人が日本語のビジネス文書を作成する場面はかなり限られることを話して、それでも今学ぶ価値について話し、生徒の意見を聞きました。グローバル化が進み、言語や国境の境がますますあいまいになる中、この学習を通じて学んでほしいことは、文書のレイアウトや形式ばったあいさつではなく、業務を円滑に進めるための道具としての業務文書作成能力だということを強調しました。

ビジネス文書はその地の商習慣と深く結びついているため、ドキュメントの背後にある文化や習慣を理解することが大切だと話しました。ここで中国のユダヤ人と呼ばれる温州人や商売上手の広東人、香港人などの話題を出して、彼らの商習慣の特徴などについて詳しい生徒に話してもらいました。

また現在、そしてこれから未来のビジネス文書の変化を予測して対応していくことも必要です。今日はその変化の要因となりえる二つの潮流について話します。

以前パソコンやワープロが登場する前、ビジネス文書とはどのようなものであったのか簡単に話し、いわゆる「ビジネス文書」と言うものが出来上がってきた背景を簡単に説明します。日本で用いられているJIS履歴書のフォーマットを見せて規格化されていくビジネス文書と、業界の慣習によって残るビジネス文書の例を示しました。


細かいところは違いますが、日本の会社で用いられる社内、社外文書はどれも「書類番号」、「日付」、「宛名」、「差出人」からなる前付け、「前文」「主文」「末文」「記文」などに分かれています。今回は紹介ですから詳しい説明は省きます。
日本のビジネス文書が基本的に手本としたのが英文の文書です。写真を見てもらって日本のフォーマットと英語のフォーマットの違いを答えてもらいます。特に自社の名前が書かれている場所に注目してもらい、商習慣や文化の違いなどについて意見を述べてもらいます。

 中国の商務文書も多くのフォーマットがありますが、例として契約書の写真を見てもらいました。中国の契約書の特徴としては、文字が大きく、表現が簡潔であることや、日本の様式では「記文」に記されるものが本文に直接書かれていることなどを話します。
 日本には諸外国に比べ膨大な量の社内文書が存在しますが、その理由と、メリット、デメリットを共に話し合いました。中国の会社では議論の過程が議事録や稟議書として残ることは大企業を除きほとんどありません。社内の調整の後は社長が鶴の一声で決定するからです。しかし日本のようにきちんと記録を残しておくことにも一定の利点があることを話します。ここまでで、日本のビジネス文書の基礎知識を網羅しました。
継ぎはその日本のビジネス文書が受ける大きな変化について、二つの要因を考えます。まずはグローバル化です。このパワポの中に出ている多国籍企業では社内文書の英文化が実施、または検討されています。中国でも同じですが、やはりグローバル企業の共通語は英語なのです。日本企業で、外国人の経営者を招聘している例を紹介しました。

この流れではやはり日本からの大脱走を決行した元日産社長、カルロスゴーンさんに登場してもらうほかありません。学生たちもこの話題は知っていて、盛り上がりました。

 次に会社で進むペーパーレス化の影響です。「ペーパーレスが進むと日本で仕事がなくなる仕事は何でしょう?」と質問して考えてもらい、「印鑑屋さん」だと教えました。
 文書の作成をサポートするソフトやAIの発達に伴い、個人間の能力の差が一層はっきりとするという話は学生たちに新鮮だったようです。「誰でもできる仕事は無くなる」「あなたでなくてもできる仕事は無くなる」と言うことについて学生の意見を聞きました。「もっとオリジナリティを磨かなくては」「中国の教育では個性は伸びない」などの意見が出ました。
 このような大きな時代の変化が日本企業に与える影響として、外国人が働きやすくなったという明るい面も話しました。
 ただ、このような流れが今すぐにすべてを変化させるわけではなく、中小企業や安全のためネットにつながないという会社ではまだ紙の文書の需要は残ると話しました。
 専門化されていく社会の中で、文書作成業務の専門職の例として弁護士と行政書士を取り上げました。会社入ってもこれらの資格が無ければ法律文書を業務として作成することは違法行為になります。二つの資格の法律区分をサラッとネットに出ていた図で説明しました。



確かにこの授業で勉強する内容はこれからの学生には直接役立つことにはならないかもしれません。それでも勉強することにどんな意味があるのか、少しでも考えてもらえたのなら、今回の授業は成功だったと思います。

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