現代中国語・ネット用語解説【体制内】

2023年1月19日木曜日

現代中国語

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 中国の社会ではよく使われる言葉ですが【体制内】について解説します。



体制内とは

体制内とは「ティージーネイ」と発音し、中国の支配体制の核心に所属している人の身分(職業)やその家族のことを指します。

支配体制とは言うまでもなく中国共産党のこと。【体制内】という言葉を使うときには、中国共産党と運命を共にし、責任を負い、利権も享受している、という意味合いがあります。日本の公務員【親方日の丸】のような意味合いですが、ここ中国共産党一党支配の中国社会ではさらに強い安心感と特権意識を連想させます。と同時に指揮系統逆らうことはできないこと、また体制に何かあれば一切を失うことへの覚悟が必要です。

国有企業の職員

分かりにくいのは共産党員でなくても【体制内】と呼ばれる身分であることです。それは国有企業の正規職員です。有名なところでは中国のタバコ公社や巨大な建設会社などです。それら巨大な利権を独占する企業は、政府に生殺与奪を握られているのと引き換えに非常に恵まれた福利厚生を享受しています。体制内の企業の一般労働者の基本給は低く抑えられていますが、各種手当、ボーナスはとても充実しています。また住宅や教育なども優遇されています。

企業によっても異なりますが、2022年現在国有の体制内の労働者は、40歳の課長クラスで毎月の基本給2万元、各種手当5千元、ボーナスが10万元ほどで、年収は800万円~1000万円ほどと、日本の大企業と同じ水準です。しかし国有企業には取引先からの賄賂や心付けなども多く、幹部職員の住宅などの優遇を含めた実際の収入は日本人には想像もつかない額になります。

共産党幹部

ではそれら国有企業を指導、監督する政府や共産党の幹部職員の待遇はどうでしょうか。想像するしかありませんが、巨大な利権を独占する特権階級が廉潔さを保つには大変な自制と考え抜かれた制度の構築が必要なのは明らかです。

毎年多くの官僚が贈賄などの腐敗で逮捕されますが、経済規模や利権の大きさを考えると、全体として今の中国はうまくやっていると私は思います。

特殊公務員

また、軍隊や警察、司法機関の職員も、利権の独占と引き換えに共産党、国への忠誠を誓う【体制内】です。

大学職員

国立大学の職員は、幹部職員で共産党員であれば【体制内】ですが、そうでなければふつう体制内とは呼ばれません。


このような社会的背景のもと日々生活する中国人が使う言葉、【体制内】。【内】の人には甘美ながらも危険な、【外】の人には羨望や妬みを含んだ響きがあるのです。

【注意点】

気をつけたいのは【体制内】という言葉は外国人が気軽に使わないほうが良いということです。それはこの言葉が表すものが、中国の体制の特徴であるのと同時に、社会の弱点でもあるからです。それで外国人は「あなたは体制内ですか?」などと中国人に尋ねないほうが良いでしょう。

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