大学生ですから、多角的な視野を持ってほしいと思い、私は国や学校の方針に反しない範囲で、自分の環境についてよく考えるような課題を出すようにしています。
中国では「家」という概念をとても大切にしています。「家」とは日本語では「身内(と思えるほど親しい人)」のような意味だと思います。範囲はもっと広いですが。中国人は身内の人とその他の人をはっきり区切ります。
家の人には余計な遠慮を使うことは逆に失礼だという文化ですが、家の人以外は「赤の他人」です。この概念は国家にも当てはまり、「国家は家」という標語をあちらこちらに見かけます。中国人は家族、外国人はよその人、というわけです。家の概念を通して愛国精神を育てているのです。
このように、中国人としての自覚を持つように育てられた若い人は「もし私が外国人だったら」という仮定は考えたことも想像したこともありません。もし中国人に「あなたが日本人だったら○○についてどう感じると思いますか」という質問をすれば、それは想像できる範囲を超えた問題で、多くの中国人はとても不快に思うでしょう。
しかし、これから世界へと羽ばたいていく生徒たちには相手の立場に立ってモノを考える習慣も必要です。それで今回は一つの仮説に基づいて作文を書くように課題を出しました。
人口減少に悩む某国の政府が、結婚して子供を産むことを奨励するために、子供ができた人には税金免除、子供がいない人には税金二倍という法律を制定する設定です。
中国の伝統的な価値観では、結婚も出産も個人の問題であるとともに家族全体の問題です。家族みなが結婚し子供を持ち、一家が絶えず発展していくことが最も尊いことだからです。
学生に考えてもらうのは、この法律に賛成か反対か。学生には言いませんが、出題の意図は以下の通りです。
①結婚・出産という個人のプライベートな決定に対して国が関与すべきなのか。
②子供のいない人は200年後の母国の状態にどれほどの関心や責任があるのか。
について考える。
どんな意見が出てくるのか楽しみです。実際は税の免除は他の人の増税と実質同じことなのですが、子供のいない人に増税することは反対という意見が多くなるように予想しています。
人口を増やしたい??
ある国で現在1億人の人口が減り続けています。政府は「このままでは50年後には人口は半分になってしまう」と心配しています。そこで政府は「国民の皆さん、早く結婚して早く子供を産んでください」とお願いしました。
それでも結婚する人も子供も増えません。このままでは100年後には国の人口は1万人になります。200年後には国は無くなります。
そこで政府は以下のような法律を提案しました。
l 結婚して子供が一人できた人は税金半分免除
l 結婚して子供が二人以上できた人は税金すべて免除
l 30歳で結婚していなくて子供のいない人は税金二倍負担
問題
①あなたはこの法律に賛成ですか?A~Dで答えよ
A. とても賛成
B. どちらかと言えば賛成
C. どちらかと言えば反対
D. 絶対反対
②なぜですか?300文字以上で記述
③もっといい方法がありますか?200文字以上で記述
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