「とは限らない」もよく見られる「ありがちな間違い」です。文法的には自然に見えても、実際に読んだり聞いたりすると不自然に感じられることがあります。以下の文を例に考えましょう。
A 私が50になるころ、親は若いとは限らない
これは日本人が見ればすぐに違和感を感じるのではないでしょうか。誰でも50歳になれば親は相応に年老いているのは明らかなのに、「若いとは限らない」とは不自然です。では以下の文はどうでしょうか。
B 子供の親が若いとは限らない
これは違和感がありませんね。20歳で親になる人もいれば40歳で親になる人もいます。若い可能性も、年齢が高い可能性もあります。たしかに「若いとは限らない」のではないでしょうか。では以下の文はいかがでしょうか。
C 仕事は大変だが、疲れないとは限らない
これは違和感を感じますね。仕事が大変な状況では「疲れない」可能性はゼロではないにしろとても低いので、不自然なのです。逆に「仕事は大変だが、疲れるとは限らない」であれば自然な文章になります。
しかし、中国人の日本語学習者に作文を書いてもらうと、A、Cの例文のような文章をよく見かけます。これは「とは限らない」の中国語の訳が、「不一定」であり、可能性が極めて小さい時にも使うことがあるからです。とくに遠回りで柔らかな表現を使うときです。
我40岁的时候,我爸妈也不一定很年轻。
D 私が40になれば両親は決して若くはない
这样乱花钱,不一定能发大财。
E そんな無駄遣いをしては決して裕福にはなれない
ですから生徒の中にはD,Eを次のように不自然に訳してしまうことがあります。
私が40になるとき両親は若いとは限らない
そんな無駄遣いをしては、裕福になれるとは限らない
中国語の表現をそのまま日本語に使おうとするのでこのような間違いが起きるのですね。
0 件のコメント:
コメントを投稿