 |
| 2008年の北京の朝 |
中国語では「それで」も「そこで」も「所以」ですから、違いが分かりにくいのです。目的や意図を強調するときに「そこで」を使う、という説明だけでは混乱しかねません。また厄介なのは「それで」も「そこで」も両方使える例文も多いのですが、想像される場面が微妙に異なる場合があることです。
そこで１１の例文を用いてどちらを用いたほうが良いのか、その理由と共に考察しました。
Ａそれで Ｂそこで Ｃどちらでもよい
1. 今週は仕事の予定がとても多くなりました。（ B ）、私は参加できません。
2. 今週は仕事の予定がとても多くなりました。（ B ）、部下に行かせようと思うのですが。
１では仕事が忙しいという前半と参加できないという後半が順接ですので「それで」が自然です。もし「そこで」を使うと参加しないという決定の意外性を強調してしまいます。もちろんそのような場面もあり得ることを説明したほうがいいと思います。
２では忙しいという状況と直接は関係ない部下が参加するという後半を接続していることに加え、相手の承認を得る意図を伝えていますから「そこで」を使います。「それで」を使うと、相手が当然承認してくれるような雰囲気が出てしまいます。もちろんそのような場面もあるでしょうが。
3. もうお金が無くなりました。（ C ）働いてみようと思います。
4. もうお金が無くなりました。（ B ）思い切って働いてみようと思います。
5. もうお金が無くなりました。（ B ）思い切って海外で働いてみようと思います。
３は「お金がないという状況」と「働く」という状況は限りなく順接の関係に近いですから、「それで」を使うべきです。しかし「働く」の動詞に「みる」という試すという意味の補助動詞がついているため、「そこで」を使っても不自然ではありません。
４では後半に「思い切って」「○○てみる」と意図が強調されているので「そこで」が自然です。しかし語気によっては「それで」でも自然であることも伝えましょう。
５はさらに「海外」とハードルが上がっていますからさらに意図が強調されています。それでこれも「そこで」。
6. 今から働いても給料は一か月後だ。（ Ｃ ）今、お金が必要だ。
7. 今から働いても給料は一か月後だ。（ Ｂ ）こんなアイディアを思いついた。
8. 今から働いても給料は一か月後だ。（ Ｂ ）どうしてこんなにお金が無いのかもう一度考えてみた。
６は３と同じように前後の関係が順接なので「それで」が自然ですが、100％の順接ではないので「そこで」も使えます。
７は相手が想定していない「自分のアイディア」を接続しているので「そこで」が適切。しかし相手が何か新しいアイディアの必要性を想定している場合は「それで」も使えることを説明してもいいと思います。
８は状況から自然に導き出される行動や状況ではなく、振り返りを接続しています。このように過去を振り返るような状況では「そこで」しか使えないことが分かります。
9. （ Ａ ）、そのあとあなたはどうしたの？
９のように他人の話の続きを促すような場面では「それで」を使います。しかし相手の話の展開次第で自分に大きな影響がある場合は「そこで」も使えると思います。
10. これではまだ問題は解決しない。（ Ｃ ）この道具の出番だ。
１０では前後は純粋な順接ではありませんからふつうは「そこで」ですが、相手が道具の存在を知っていたり、道具の出現を意外に感じない場合には「それで」も使えることが分かります。
11. 少し話題が外れてしまいました。（ Ｂ ）話を戻して、さっきの話をもう一度詳しくお話しましょう。
１１も８と同じように振り返りなので、「そこで」が適当です。またこの例文から「そこで」には相手を巻き込んで行動させる効果もあることが分かります。
であるからあいまいな部分もあるとはいえ、一応の正解は以下のようになります。
正解 ＡＢＣＢＢＣＢＢＡＣＢ
このように「それで」と「そこで」の使いかたはその場の状況は当事者の認識の範囲に大きく影響を受けることが分かります。また話し方や語気の調子によっても変わります。そのような話を実演を通して説明すると、生徒も興味深く聞いてくれるような気がします。
.jpeg){kind=small}
0 件のコメント:
コメントを投稿