日本語コーナーとは??
日本語教師の主な仕事以外に、日本語コーナーという仕事があります。
日本語コーナーとは一体なんでしょうか。
日本語教師の主な仕事
日本語教師の主な仕事は、大きく分けて3つです。
①教室で授業を行う
②テストを作成・採点したり、授業報告などを提出したりする事務作業
③学内の会議やイベント(スピーチコンテスト等)などに出席・指導する
これらは契約書に書かれていますので、正式な仕事として学校や学部主任、教務部の指導に従わなければなりません。
日本語コーナーとは!?
しかしながら、契約書には書かれていないものの日本人教師として期待されている役割として、「日本語コーナーの主催」があります。
この仕事は、英語のネイティブ教師が「イングリッシュコーナー」を行う伝統に由来しており、どこの大学でも外国語学院の外国人教師には授業外の時間に週に1回程度主催することが期待されています。
リラックスした雰囲気で学んだ外国語を話し、応用力を身に着けるのが狙いです。
ちなみに中国語では、「コーナー」を漢字に変換して「日語角」と言います。
この日本語コーナーについては、行う曜日・時間・内容などに一切大学の指示はありません。
形式上は教師のボランティアということになっているので、報酬も払われません。
しかし、外国人と実際に日常会話をする機会が少ない学生にとっては、貴重な実践の場と言えます。
この日本語コーナーに対する取り組みや姿勢は、日本語教師によってずいぶんと違います。
毎週定期的に開催して熱心に取り組む先生もおられますし、仕事ではないということでほとんど行わない先生もおられます。
日本語コーナーのメリット
個人的には、この日本語コーナーには過度な負担にならない範囲で真面目に取り組んだ方がいいと思います。
その理由はいくつかあります。
① 学生の学習へのモチベーションが上がります。
中国という日本に良い印象を持たない国で日本語を勉強する学生たちは、いつも肩身の狭い思いをしています。
もし日本語コーナーで楽しい体験ができれば、「日本語を専攻してよかった」感じてくれて、授業を受ける態度が良くなることがあります。
② 面白く、楽しい日本語コーナーになれば、学生がSNSなどで宣伝してくれ、教師の評判が良くなります。
ウェイシンのモーメントなどで、学生が楽しい日本語コーナーの様子をアップすると、学校や学部の責任者の目に留まり、熱心に指導する教師だ、という評判が立ちます。
③ 学生を個人的に知ることができて日頃の授業の質が上がります。
特に会話の授業では、教師と学生の関係性が授業の質に直結しますので、授業以外の時間で学生を個人的に知ることは大事です。
なかなか続かない日本語コーナー
とはいっても、日本語コーナーを継続して運営していくことはとても難しいものです。
これはほとんどの日本語教師が同意することだと思います。
正直に言えば、私にとって日本語コーナーは授業よりも難しく、授業よりも疲れます。
運営が困難な理由として、まず学生が進んで参加するとは限りません。
日頃教室で勉強している日本語を、自由時間を使ってまでさらに勉強したくはないのです。
また盛り上がらない日本語コーナーに緊張しながら参加するのが苦痛、という学生もいるでしょう。
乗り気ではない学生を見て教師の方もやる気を失ってしまい、「義務ではないのだから」とやめてしまう場合も多いと思います。
日本語コーナーを続ける「コツ・ゲーム・話題」
そこで今回は、日本語コーナーを過度な負担なく続けていく「コツ・ゲーム・話題」をいくつか紹介したいと思います。
① 45分で終わりにする
どれだけ会話やゲームが盛り上がっても、私は日本語コーナーを45分で切り上げるようにしています。
日本語コーナーは話題がなくなるとダラダラした雰囲気になってしまいますし、早く帰りたい学生が一人でもいると全体のテンションも下がります。
そうなると学生も教師も疲れて、終わると次の日本語コーナーが負担に感じられてしまうのです。
細く長く続けていくためにも、日本語コーナーは楽しく、短く。
足りないくらいがちょうどいいのです。
②盛り上がるレクリエーション例
あいうえお「かるた」
これは定番中の定番ですね。
主に日本語を学び始めて間もない学生に向いています。
「あいうえお」が書かれた「かるた」を使って遊ぶレクリエーションです。
「かるた」をテーブルに並べて、教師が「あ」「い」とランダムに「ひらがな」を言う。
該当する「かるた」を早く手で押さえた学生が、その「ひらがな」で始まる単語や文章を日本語で言う。
「かるた」を押さえるのは早い者勝ちですので、これは盛り上がります。
また厚紙を切ってみんなで一緒にかるたを自作するのも楽しいです。
「ひらがな」だけでなく「カタカナ」や「濁音・半濁音」の文字も合わせて作ると、バリエーションが増えますね。
伝言ゲーム
参加する生徒が多ければ、日本語で教師が話した内容を、輪になった学生が小声で伝言していくゲームも盛り上がります。
聴解の練習にもなっていいです。
伝言する内容ですが、家族に関係する内容がいいと思います。
中国語は家族の呼び方がとても多く、同じおじさんやおばさんでも「母方」「父方」で呼び方が異なります。
それで無意識のうちに内容を誤って伝えてしまうことが多いのです。
「彼女のおばさんの従妹はお医者さんです」などから始めてみましょう。
手書きマンガ・イラスト
若者に人気のある日本文化と言えば、アニメ・漫画ですね。
それで漫画やイラストを教えてあげると、こちらが引くほど喜ばれます。
私もマンガは素人で上手ではないのですが、ドラえもんなど簡単なイラストを描いてみせると学生は、夢中になって模写してくれます。
いくつかキャラクターが書けるように準備しておいてもいいかもしれません。
学生は「日本人に漫画を教えてもらった」というのが、とてもうれしいようです。
ドミノピザも美味しいけれど、「イタリア人がピザを作って食べさせてくれた」というのがうれしいのと似ているかもしれません。
みんなでドラえもんを書いてみる。下手でも感動してもらえる! |
③会話の話題
「私の高校時代」
学生たちの高校時代の話をテーマに会話をすると盛り上がります。
中国では、高校生の恋愛は「早恋」と呼ばれ禁止されています。
しかし、年頃の高校生の恋心を押さえつけるのは無理というもので、こっそり付き合っていたとか、バレて親が学校に呼び出されたなどという話は多いです。
他にも受験勉強がどれほど苦しかったとか、怖い先生がいた、など話題は尽きません。
まとめ
確かに日本語コーナーは大変で、続けるのは一苦労。
でも日本語教師としてのスキルを伸ばすためにも、力を入れて取り組みたいものですね。
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