中国では共産党一党支配のもと、複雑な権力構造があり、外国人には理解しづらい部分があります。
実際あまりにも複雑な権力・支配構造なので中国の一般市民でさえ正確に理解している人は少ないと思います。
実際、大学生に行政の構造を聞いても答えられない生徒は多いのです。
今回は、大学内に絞って「権力構造」を簡単に解説したいと思います。
中国の2つのピラミッド
中国では大学にしろ少し大きな民間の会社にしろ、主に2つのピラミッドが重なっています。
それは「行政」と「党政」です。
行政は実務・党政は中央政府の指導に沿って行政を指導する役目があります。
大学の行政のトップは校長、党政のトップは党委書記です。
党政に従事する者は必ず共産党員でなければなりません。
つまり中国では民間企業であれ国有企業であれ、学校であれすべては共産党の指導の下にあるということです。
校長が共産党員の場合
中国では○○長と名の付く役職があれば、たいていその上に○○委書記という役職があります。
大学では「校長」の下に学部長に当たる「院長」があり、それぞれ「校委書記」、「院支委書記」がいて指導を行っています。
校長が共産党員であれば、それは明確に党委書記に次ぐナンバー2であることを意味します。
中央政府の実務を担う李克強首相と同じです。
このような場合、校長は党委副書記も兼務していることが多く、権力の序列は把握しやすい体制です。
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校長が共産党員である場合 |
校長が共産党員でない場合
では校長が党員でない場合はどうでしょうか。
共産党員は中国全土に9000万人以上いますが、大多数の国民は党員ではありません。
では党員でなければ権力構造のピラミッドを登っていけないのでしょうか?
そうではなく、才能や実力のある人を広く活用するため、行政に関しては党員でなくても出世できるようになっているのです。
ですから校長が党員でないということもあり得ます。
校長が党員でないというのは最近では極めてまれですが、学部長が党員でないことは時々あることです。
そのような場合、学部長は実務や授業内容などに関して責任を持ちますが、それらすべてに党委書記の指導を仰がなければなりません。
また人事についても決定できる範囲が非常に狭くなります。
また党委副書記との力関係も微妙になり、権力構造が複雑になります。
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校長が共産党員でない場合 |
共産党員でなくても出世できる理由
中国で働く上で欠かせない知識
このように中国の権力構造は二重構造になっており、その組織の社会的性質や各人物の能力に応じて二つのピラミッドの大きさや距離が微妙に変わってくるのです。
このような知識も中国の大学で勤務するうえでとても大切です。
例えば教室の変更申請などであれば、党員でない学部長でもすぐに判断できるかもしれませんが、教科書の選定などの党政の許可が必要な場合は、党委書記に直接許可をもらうほうが早いかもしれません。
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